2013/08/14(Wed)
  蟲は  鈴蟲。松蟲。促織(はたおり)。蟋蟀(きりぎりす)。蝶。われから。蜉蝣。螢。

 蓑蟲いとあはれなり。鬼の生みければ、親に似て、これもおそろしき心地ぞあらんとて、親のあしき衣ひき著せて、「今秋風吹かんをりにぞこんずる、侍てよ」といひて逃げていにけるも知らず、風の音聞き知りて、八月ばかりになれば、ちちよちちよとはかなげに鳴く、いみじくあはれなり。

 茅蜩(ひぐらし)、叩頭蟲(ぬかずきむし)またあはれなり。さる心に道心おこして、つきありくらん。又おもひかけず暗き所などにほとめきたる、聞きつけたるこそをかしけれ。

 蠅こそにくきもののうちに入れつべけれ。愛敬なくにくきものは、人々しう書き出づべきもののやうにあらねど、萬の物にゐ、顏などにぬれたる足して居たるなどよ。人の名につきたるは必かたし。

 夏蟲いとをかしく廊のうへ飛びありく、いとをかし。蟻はにくけれど、輕びいみじうて、水のうへなどをただ歩みありくこそをかしけれ。