2012/11/28(Wed)
  牛は額いとちひさく白みたるが、腹のした、足のしも、尾のすそ白き。
2012/11/20(Tue)
  檳榔毛はのどやかにやりたる。急ぎたるは輕々しく見ゆ。

 網代(あじろ)は走らせたる。人の門より渡りたるを、ふと見るほどもなく過ぎて、供の人ばかり走るを、誰ならんと思ふこそをかしけれ。ゆるゆると久しく行けばいとわろし。
2012/11/17(Sat)
  こころゆくもの  よくかいたる女繪の詞をかしうつづけておほかる。物見のかへさに乘りこぼれて、男どもいと多く、牛よくやるものの車走らせたる。白く清げなる檀紙に、いとほそう書くべくはあらぬ筆して文書きたる。川船のくだりざま。齒黒のよくつきたる。重食に丁多くうちたる。うるはしき糸のねりあはせぐりしたる。

 物よくいふ陰陽師して、河原に出でてずその祓したる。
 夜寢起きて飮む水。
 徒然なるをりに、いとあまり睦しくはあらず、踈くもあらぬ賓客のきて、世の中の物がたり、この頃ある事の、をかしきも、にくきも、怪しきも、これにかかり、かれにかかり、公私おぼつかなからず、聞きよきほどに語りたる、いと心ゆくここちす。

 社寺などに詣でて物申さするに、寺には法師、社には禰宜などやうのものの、思ふほどよりも過ぎて、滯なく聞きよく申したる。

2012/11/15(Thu)
  すぎにしかたのこひしきもの  枯れたる葵。雛あそびの調度。

 二藍、葡萄染などのさいでの、おしへされて、草紙の中にありけるを見つけたる。また折からあはれなりし人の文、雨などの降りて徒然なる日さがし出でたる。

 去年のかはぼり。月のあかき夜。
2012/11/10(Sat)
  心ときめきするもの  雀の子。兒あそばする所の前わたりたる。
 よき薫物たきて一人臥したる。唐鏡の少しくらき見たる。よき男の車とどめて物いひ案内せさせたる。

 頭洗ひ化粧じて、香にしみたる衣著たる。殊に見る人なき所にても、心のうちはなほをかし。待つ人などある夜、雨の脚、風の吹きゆるがすも、ふとぞおどろかるる。