2012/07/29(Sun)
  市は  辰(たつ)の市。椿市は、大和に數多ある中に、長谷寺にまうづる人の、かならずそこにとどまりければ、觀音の御縁あるにやと、心ことなるなり。おふさの市。餝摩の市。飛鳥の市。
2012/07/20(Fri)
  原は  竹原。甕の原。朝の原。その原。萩原。粟津原。奈志原。うなゐごが原。安倍の原。篠原。
2012/07/16(Mon)
  峯(みね=峰)は  ゆづるはの峯。阿彌陀の峯。彌高の峯。
2012/07/11(Wed)
  山は  小倉山。三笠山。このくれ山。わすれ山。いりたち山。鹿背山。ひはの山。かたさり山こそ、誰に所おきけるにかと、をかしけれ。五幡山。後瀬山。笠取山。ひらの山。鳥籠の山は、わが名もらすなと、みかどのよませ給ひけん、いとをかし。
 伊吹山。朝倉山、よそに見るらんいとをかしき。岩田山。大比禮山もをかし、臨時の祭の使などおもひ出でらるべし。手向山。三輪の山、いとをかし。音羽山。待兼山。玉坂山。耳無山。末の松山。葛城山。美濃の御山。柞山。位山。吉備の中山。嵐山。更級山。姨捨山。小鹽山。淺間山。かたため山。かへる山。妹背山。
2012/07/07(Sat)
  今内裏の東をば、北の陣とぞいふ。楢の木の遙にたかきが立てるを、常に見て、「幾尋かあらん」などいふに、權中將の、「もとより打ちきりて、定證僧都の枝扇にせさせばや」とのたまひしを、山階寺の別當になりて、よろこび申すの日、近衞府にて、この君の出で給へるに、高き屐子をさへはきたれば、ゆゆしく高し。出でぬる後こそ、「などその枝扇はもたせ給はぬ」といへば、「ものわすれせず」と笑ひ給ふ。